地球温暖化の深刻な影響が迫っています
相次ぐ風水害や異常気象、熱中症や感染症の増加、海面上昇、高潮、サンゴ礁の白化、農林水産物被害による価格高騰など地球温暖化の深刻な影響が私たちにも実感できるかたちで迫っています。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書の統合報告書(政策決定者向け要約)は、「温室効果ガス*の継続的な排出は、更なる温暖化と気候システムの全ての要素に長期にわたる変化をもたらし、それにより、人々や生態系にとって深刻で広範囲にわたる不可逆的な影響を生じる可能性が高まる。」と警告しています。
この地球温暖化による深刻な影響を抑制するためには、温室効果ガスの排出を大幅かつ継続的に削減する必要があります。その方策として、省エネルギーや再生可能エネルギーとともに重要な技術の一つが二酸化炭素回収・貯留(CCS)です。
*温室効果ガスとしては、二酸化炭素(CO2)のほか、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)があります。
CCSは「パリ協定」の目標達成に必要な技術です
2015年12 月、第21回気候変動枠組条約締約国会議(Conference of the Parties : COP21)において「パリ協定(Paris Agreement)」が採択され、世界全体の温室効果ガス排出量の55%を超える国と地域が批准を決めたことで、2016年11月4日に発効しました。
パリ協定は、気温上昇を産業革命前から2℃未満に抑え同時に1.5℃未満をめざす温暖化対策に国際社会全体で取り組む(第2条1項a)ことに合意するもので、これは今世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロにする(第4条1項)ことを意味しています。
IPCC第5次評価報告書(第3作業部会「気候変動緩和」)は、低炭素電力(再生可能エネルギー、原子力発電、CCS付火力発電、BECCS*)の割合を2050年までに80%以上に増加(現状約30%)させること、CCSが付いていない火力発電は2100年までにほぼ廃止させることが必要であるとしています。また、IPCC第5次評価報告書の統合報告書(政策決定者向け要約)は、バイオエネルギー、CCS及びその組み合わせであるBECCSが制限されると、気温上昇を2℃未満に抑制することは困難になると指摘しています。
*BECCS(ベックス)とは、Bio-Energy with Carbon Capture and Storageの略で、CCS付きのバイオマス発電などを指します。大気中のCO2を吸収した植物由来のCO2を回収・貯留するので、CO2の恒久的な純減(科学用語でいうネガティブCO2排出)を実現します。(Global CCS Institute「2010年世界のBECCSプロジェクトの動向」2012年8月)
わが国でもCCSの導入が検討されています
環境省の気候変動長期戦略懇談会による「提言〜温室効果ガスの長期大幅削減と経済・社会的課題の同時解決に向けて〜」(平成28年2月26日)では、2050年までに温室効果ガス80%を削減するという長期目標実現のために、可能な限りのエネルギー需要の削減、化石燃料依存度低減に加え、火力発電及び産業部門の大規模排出源にCCSの設置が必要(電力はCCS付火力を含む低炭素電源により9割超をまかなう)としています。
また、国のエネルギー基本計画(平成26年4月)では、「温室効果ガスの大気中への排出をさらに抑えるため、IGCC等の次世代高効率石炭火力発電技術等の開発・実用化を推進するとともに、2020年頃の二酸化炭素回収貯留(CCS)技術の実用化を目指した研究開発や、CCSの商用化の目途等も考慮しつつできるだけ早期のCCS Ready 導入に向けた検討を行うなど、環境負荷の一層の低減に配慮した石炭火力発電の導入を進める」としています。
パリ協定の約束を守るためには日本でもCCSの導入が必要です。特にエネルギー起源CO2排出量が多くを占める状況の中では、CO2排出量の大きい石炭火力発電所へのCCS導入の優先度が高くなります。